EV車やハイブリッド車の普及に伴い、燃費向上や航続距離の延伸を目的に、自動車ボディには金属だけでなく、樹脂や複合素材など多様な材料が使われるようになりました。こうした異素材間で色や質感の整合性を保つための研究は、製品の完成度やブランドイメージに直結する重要な要素です。EV・ハイブリッド時代の自動車業界では、高品質とデザインの融合が、企業価値の維持・向上だけでなく、他社との差別化にもつながります。
メタルプレート画像
2種類の素材を並べた画像
素材間の比較解析画面
ドアハンドル、ミラーカバー、インストルメントパネル、自動車シート
課題
異素材間での色や質感の一元管理ができない
異素材間でも統一感のある外観を実現するには、塗装技術の工夫に加え、色や質感の正確な評価が欠かせません。従来は、色の測定には分光測色計、メタリック感の測定には多角度計、さらに塗料などの液体は専用測色計など用途ごとに異なる機材が必要で、機材管理や操作習得の手間が大きな課題となっていました。さらに、複数の機材で得られたデータの統合や一元管理が難しく、データ管理の煩雑さも業務負荷を高める要因となっています。
色彩計導入後の効果
データの一元管理が実現し、業務効率化と信頼性向上に貢献
これまで用途ごとに分かれていた複数機材が不要となり、当社機材1台で、色はもちろん、メタリック感やパール感などの質感まで一括して測定できるようになりました。さらにカメラ方式を採用しているため、シボや凹凸、多少の立体形状のワークや、液体の色彩・質感評価にも対応可能です。測定結果は画像と数値の両方で記録されるため、データの一元管理が実現し、評価業務の効率化と信頼性向上に大きく貢献します。
①撮影…基準品を撮影し画像を保存します。測定画面で基準追加をクリックすると基準に設定されます。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
色や質感の定量化、質感を含めた色の詳細な解析には色分布一致度検査が最適です。1ピクセル単位で取得した色の情報をLab色空間上にプロットすることで、光沢のない単色は一点に収束し、ラメや反射によって色が散乱する製品は立体的に広がる形として現れます。この広がりが「質感」として捉えられるので、色分布を比較することで、実際の見た目に近い解析が可能になります。
塗装色の研究開発においては、継続的なデータの蓄積と分析が不可欠です。当社の解析システムでは、測定した画像とその測定位置の情報に加え、測定領域内の平均L*、a*、b*値や色分布の一致度といった定量データをCSV形式で出力可能です。これにより、素材や塗装条件によって生まれる色や質感の傾向を可視化し、蓄積されたデータをもとに、より高精度な色設計・材料選定が行えるようになります。
樹脂と金属など、異なる素材間で色の統一を確認するには、「プロファイル測定」が効果的です。細長い測定領域を設定し、領域のスタート位置を基準として、⊿L*、⊿a*、⊿b*、および色差⊿Eの変化をグラフ化。ガイド線の表示により、どの位置で色のズレや色ムラが生じているかを一目で把握可能。視覚では気づきにくい微細な差異も数値として明確に捉えることができます。
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