消臭ジェルなどの透明ゲル状製品は、消臭や除菌といった機能性はもちろん、見た目の美しさや清潔感も購買意欲に大きく影響します。無色透明であることや、ごく淡い色味が均一に保たれていることは、製品の品質感やブランドイメージに直結します。特にインテリアとして設置される場面が多いため、視覚的な訴求力は重要です。また、季節限定や香りごとに微妙に色味を変える商品展開も多く、「透明感のある美しさ」と「色の均一性」は、他製品との差別化や売上向上に貢献する大切な要素となっています。
無色透明と青透明の消臭ジェル
撮影画像(測定範囲)
測定結果画面
保湿ジェル、歯磨きジェル、冷却ジェル、ジェルネイル、ゼリー(食品)
課題
透明素材特有の測定難と目視評価の限界
透明なジェル素材は、その特性上、接触式の分光測色計では測定時に形状が崩れやすく、安定した測定が困難です。さらに、透明または半透明な素材は光の透過や内部反射の影響を受けやすく、目視による色の評価が曖昧で、検査員の主観に依存しやすいという問題もあります。特にわずかな色味のばらつきや濁りは、品質の不均一としてクレームにつながる恐れがありますが、それを定量的に捉える手段が少なく、品質管理の標準化が難しいという課題がありました。
色彩計導入後の効果
非接触・高精度な測定で透明サンプルの品質管理を数値化
ジェル素材を傷つけずに正確な色評価が可能となりました。当社の測色センサは、人の目に近い感度を持っているため、透明素材特有の微細な色味や濁りの違いも“見た目”に近いかたちで数値化できます。これにより、目視に頼っていた検査基準を定量的に管理でき、品質評価の標準化が実現。バリエーションごとの色の違いも明確に管理できるため、製品企画やブランド展開にも活用可能です。製品の信頼性が向上し、印象価値の強化やクレーム低減にもつながっています。
①撮影…基準品を撮影し画像を保存します。測定画面で基準追加をクリックすると基準に設定されます。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
色や透明感の違いを定量化して比較するには、色と質感を含めた一致度検査が効果的です。撮影画像内の全ピクセルの色情報をLab色空間にプロットすることで、光沢のない単色は一点に収束し、透明感があるサンプルは立体的に広がる形として現れます。基準品と検査品の色分布の重なり度合いをパーセンテージで表示。⊿E(色差)では捉えきれない明度も含めた一致度を定量評価でき、人の視覚に近い判定が可能です。
透明感の違いを視覚的に確認するには、3次元色分布表示機能がおすすめです。1ピクセル単位の色情報をLab色空間上に3Dグラフィックとして可視化します。3軸で立体的に表示されるため、色分布の傾向や広がり、偏りなどを直感的に把握できます。グラフィックは回転可能で、さまざまな角度から確認できるため、色調管理や品質評価における新しい視点を提供します。
撮影した画像を時系列で保存し、一定期間ごとの変化を一括で比較・検査できます。複数時点の画像を並べて確認できるため、素材の経年変化を効率的に評価可能です。1分ごとのような短周期での撮影にはタイムラプス機能を活用することで、長時間にわたる自動撮影にも対応します。撮影画像と測定値を照らし合わせながら、レポートを作成する際にも便利です。
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高級バッグなどに使用される天然皮革素材は、ナチュラルな風合いやシボ(しわ模様)、色味には一枚ごとに個体差があり、過度なムラは品質不良と見なされる一方で、使い込むことで深まる色味や質感の変化は「味わい」として重視されます。そのため、出荷前の品質管理だけでなく、経年による色や質感の変化を定量的に追跡・評価したいというニーズもあります。色と質感などの視覚的価値を数値で管理して、製品の魅力を客観的に示すことは、企業のブランド価値を維持・向上させる上で欠かせないアプローチです。
皮革製品サンプル
撮影画像と測定範囲
測定画面
衣類、靴、自動車内装、家具、インテリア
課題
検査の属人化と経年変化の管理の難しさ
天然皮革は一枚ごとに風合いや色味が異なり、製品の魅力でもありますが、過度なムラやシボの違いは不良と判断されることもあります。現在は熟練者による目視検査に頼っており、評価基準が属人的でばらつきが生じやすい状況です。また、皮革は使い込むことで色が深まり、質感が変化する特性があるため、経年変化を含めた品質の一貫性を可視化し、ブランド価値の裏付けとすることも課題となっています。
色彩計導入後の効果
品質の見える化とブランド価値の訴求
2次元色彩計により、皮革の色ムラやシボの分布を定量的に可視化できます。人の目ではばらつきやすい判定を数値で標準化することで、安定した品質管理が実現します。さらに、出荷前の状態だけでなく、経年による色や質感の変化も時系列で測定・記録できるため、製品の「味わいの変化」までもデータとして可視化可能です。感性的価値を裏付ける技術として、ブランドの信頼性向上にも貢献します。
①基準の設定…基準品を撮影し画像を保存します(最初の一回)。基準追加をクリックして設定完了です。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
皮革製品におけるわずかな色の違いには、⊿Labや⊿Eを用いた色差検査が有効です。熟練検査員でも見極めが難しい微細な色差も、数値で正確に検出可能です。撮影した画像から任意の測定範囲を設定し、⊿Labや⊿Eといった指標を使って定量的に評価できます。色ブレの管理を数値化することで、製品ごとの外観品質を安定的に維持することができます。
色だけでなく、表面のシボ感など質感を含めて総合的に判断するには、「一致度検査」が有効です。1ピクセル単位で取得した色情報をLab色空間上にプロットすることで、光沢のない単色素材は一点に集中し、表面に凹凸のある素材では色が散乱し、立体的な広がりとして可視化されます。この広がりが「質感」の指標となり、実際の見た目に近い比較が可能です。風合いや仕上がりを揃えたい製品の検査に最適です。
経年による色や質感の変化を定量的に追跡・評価するには、画像保存機能と結果出力機能が便利です。検査は全てのサンプルを撮影した後からでも可能。皮革素材の風合いが変化するようすを撮影画像と数値で時系列に比較することで、「どのように美しく変化したか」「品質がどの程度維持されているか」といった点を客観的に把握できます。製品の長期使用における信頼性や価値訴求の裏付けとして、販促資料や品質保証にも活用可能です。
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EV車やハイブリッド車の普及に伴い、燃費向上や航続距離の延伸を目的に、自動車ボディには金属だけでなく、樹脂や複合素材など多様な材料が使われるようになりました。こうした異素材間で色や質感の整合性を保つための研究は、製品の完成度やブランドイメージに直結する重要な要素です。EV・ハイブリッド時代の自動車業界では、高品質とデザインの融合が、企業価値の維持・向上だけでなく、他社との差別化にもつながります。
メタルプレート画像
2種類の素材を並べた画像
素材間の比較解析画面
ドアハンドル、ミラーカバー、インストルメントパネル、自動車シート
課題
異素材間での色や質感の一元管理ができない
異素材間でも統一感のある外観を実現するには、塗装技術の工夫に加え、色や質感の正確な評価が欠かせません。従来は、色の測定には分光測色計、メタリック感の測定には多角度計、さらに塗料などの液体は専用測色計など用途ごとに異なる機材が必要で、機材管理や操作習得の手間が大きな課題となっていました。さらに、複数の機材で得られたデータの統合や一元管理が難しく、データ管理の煩雑さも業務負荷を高める要因となっています。
色彩計導入後の効果
データの一元管理が実現し、業務効率化と信頼性向上に貢献
これまで用途ごとに分かれていた複数機材が不要となり、当社機材1台で、色はもちろん、メタリック感やパール感などの質感まで一括して測定できるようになりました。さらにカメラ方式を採用しているため、シボや凹凸、多少の立体形状のワークや、液体の色彩・質感評価にも対応可能です。測定結果は画像と数値の両方で記録されるため、データの一元管理が実現し、評価業務の効率化と信頼性向上に大きく貢献します。
①撮影…基準品を撮影し画像を保存します。測定画面で基準追加をクリックすると基準に設定されます。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
色や質感の定量化、質感を含めた色の詳細な解析には色分布一致度検査が最適です。1ピクセル単位で取得した色の情報をLab色空間上にプロットすることで、光沢のない単色は一点に収束し、ラメや反射によって色が散乱する製品は立体的に広がる形として現れます。この広がりが「質感」として捉えられるので、色分布を比較することで、実際の見た目に近い解析が可能になります。
塗装色の研究開発においては、継続的なデータの蓄積と分析が不可欠です。当社の解析システムでは、測定した画像とその測定位置の情報に加え、測定領域内の平均L*、a*、b*値や色分布の一致度といった定量データをCSV形式で出力可能です。これにより、素材や塗装条件によって生まれる色や質感の傾向を可視化し、蓄積されたデータをもとに、より高精度な色設計・材料選定が行えるようになります。
樹脂と金属など、異なる素材間で色の統一を確認するには、「プロファイル測定」が効果的です。細長い測定領域を設定し、領域のスタート位置を基準として、⊿L*、⊿a*、⊿b*、および色差⊿Eの変化をグラフ化。ガイド線の表示により、どの位置で色のズレや色ムラが生じているかを一目で把握可能。視覚では気づきにくい微細な差異も数値として明確に捉えることができます。
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