高級バッグなどに使用される天然皮革素材は、ナチュラルな風合いやシボ(しわ模様)、色味には一枚ごとに個体差があり、過度なムラは品質不良と見なされる一方で、使い込むことで深まる色味や質感の変化は「味わい」として重視されます。そのため、出荷前の品質管理だけでなく、経年による色や質感の変化を定量的に追跡・評価したいというニーズもあります。色と質感などの視覚的価値を数値で管理して、製品の魅力を客観的に示すことは、企業のブランド価値を維持・向上させる上で欠かせないアプローチです。
皮革製品サンプル
撮影画像と測定範囲
測定画面
衣類、靴、自動車内装、家具、インテリア
課題
検査の属人化と経年変化の管理の難しさ
天然皮革は一枚ごとに風合いや色味が異なり、製品の魅力でもありますが、過度なムラやシボの違いは不良と判断されることもあります。現在は熟練者による目視検査に頼っており、評価基準が属人的でばらつきが生じやすい状況です。また、皮革は使い込むことで色が深まり、質感が変化する特性があるため、経年変化を含めた品質の一貫性を可視化し、ブランド価値の裏付けとすることも課題となっています。
色彩計導入後の効果
品質の見える化とブランド価値の訴求
2次元色彩計により、皮革の色ムラやシボの分布を定量的に可視化できます。人の目ではばらつきやすい判定を数値で標準化することで、安定した品質管理が実現します。さらに、出荷前の状態だけでなく、経年による色や質感の変化も時系列で測定・記録できるため、製品の「味わいの変化」までもデータとして可視化可能です。感性的価値を裏付ける技術として、ブランドの信頼性向上にも貢献します。
①基準の設定…基準品を撮影し画像を保存します(最初の一回)。基準追加をクリックして設定完了です。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
皮革製品におけるわずかな色の違いには、⊿Labや⊿Eを用いた色差検査が有効です。熟練検査員でも見極めが難しい微細な色差も、数値で正確に検出可能です。撮影した画像から任意の測定範囲を設定し、⊿Labや⊿Eといった指標を使って定量的に評価できます。色ブレの管理を数値化することで、製品ごとの外観品質を安定的に維持することができます。
色だけでなく、表面のシボ感など質感を含めて総合的に判断するには、「一致度検査」が有効です。1ピクセル単位で取得した色情報をLab色空間上にプロットすることで、光沢のない単色素材は一点に集中し、表面に凹凸のある素材では色が散乱し、立体的な広がりとして可視化されます。この広がりが「質感」の指標となり、実際の見た目に近い比較が可能です。風合いや仕上がりを揃えたい製品の検査に最適です。
経年による色や質感の変化を定量的に追跡・評価するには、画像保存機能と結果出力機能が便利です。検査は全てのサンプルを撮影した後からでも可能。皮革素材の風合いが変化するようすを撮影画像と数値で時系列に比較することで、「どのように美しく変化したか」「品質がどの程度維持されているか」といった点を客観的に把握できます。製品の長期使用における信頼性や価値訴求の裏付けとして、販促資料や品質保証にも活用可能です。
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