Labとは──色を数値で正確に伝えるための色空間

色は私たちの感性に強く訴える要素であり、製品やデザインの印象、さらには品質にも大きな影響を与えます。しかし、色の見え方は主観的で、光の条件や観察者によって変化します。こうした「曖昧さ」を解消し、色を正確に管理・再現するために用いられるのが表色系です。その中でも、色差の評価や品質管理の分野で国際的に広く採用されているのが「Lab表色系」です。このページでは、Labの理解を深めるために、色を数値で表す仕組みと、Labが信頼されている理由をわかりやすく紹介します。

表色系とは──色を数値で表す考え方

「表色系」とは、色を数値化するための基準のことです。色は感覚的なものですが、品質管理や製品開発の現場では、それを誰もが同じ基準で扱える数値に変換する必要があります。表色系はそのための「色の共通言語」とも言えるものです。
代表的な表色系には以下のようなものがあります:

RGB:赤・緑・青の光を混ぜて色を再現する、加法混色の色空間。ディスプレイや画像処理に広く使用されています。
XYZ:CIE(国際照明委員会)が定義した視覚モデルに基づく理論的な表色系。色の測定や変換の基礎として用いられます。

これらに対し、Lab表色系は「人間の色の感じ方」に近づけた構造を持ち、色の比較や品質評価に非常に適した表色系として位置づけられています。

表色系とは──色を数値で表す考え方

RGB表色系の加法混色:赤・緑・青の光を重ねると中央に白が現れる

Labの仕組み──3軸で色を捉える

Lab(またはCIELab)は、XYZ表色系をもとに、人間の色の感じ方にできるだけ近づけるよう設計された表色系です。色を次の3つの軸で構成しています:

L*(Lightness):明るさ。0が完全な黒、100が完全な白を示します。
a*:赤~緑の軸。プラスが赤、マイナスが緑。
b*:黄~青の軸。プラスが黄色、マイナスが青。

この構造により、Labは視覚的な差異を「空間的な距離」として扱うことができるため、人の感覚に近い形で色の違いを数値として捉えることができます。

Labの仕組み──3軸で色を捉える

Lab表色系の構造:色の見え方や違いを数値で正確に捉える色空間

なぜLabが選ばれているのか──業界での広がりと信頼性

Lab表色系は、人の視覚に近い感覚で色の違いを数値化できるという特長から、色の定量的な評価や品質管理の分野で広く活用されている色空間のひとつです。
この信頼性の背景には、次のような要素があります:

・CIE(国際照明委員会)によって国際標準として定義されており、JISやISOなどの規格にも準拠している
・色の見た目の違いを数値的に扱いやすく、視覚との対応性が高い
・多くの色彩計や分光測色計、カラーマネジメントソフトでLab値が標準的に扱える
・標準化された測定条件(光源や観察角度)を用いることで、異なる素材や質感の違いにも左右されにくい評価が可能

特にこの最後の点は重要です。Lab表色系は、測定環境が適切に統一されていれば、光沢や材質が異なる製品でも安定して比較可能な色のデータを取得できます。そのため、製品の素材が多様である現場においても、一貫した品質管理を支える仕組みとして機能しています。
こうした特長から、Labは印刷、塗装、繊維、化粧品、食品、建材など、色の見た目が製品の品質やブランドイメージに直結する多くの業界で採用されています。RGBやXYZ、マンセルなど、目的や分野に応じたさまざまな表色系が存在する中でも、Labは「見た目の色の違い」を客観的に数値で伝えるための共通基盤として、現場での判断基準や品質評価の支柱となっている色空間です。

Labを活用する意味──色を「共有できる価値」へ

色を「感覚」から「共通の数値」に変えることで、見た目のばらつきを防ぎ、顧客や関係者との認識のズレをなくすことができます。たとえば、製品の色がイメージ通りに仕上がっているか、部品同士の色が統一されているかなど、Labを使えば誰もが同じ基準で判断できます。
パパラボでは、Lab表色系をはじめ、RGBやXYZなど複数の表色系に対応した測定・分析ソフトウェアを提供しています。なかでもLabは、色の見た目に近い評価が可能で、品質管理に適していることから、色彩の管理や検査における推奨表色系と位置づけています。
誰でも共通の基準で色を測定・検査できる仕組みを整えることは、製品の品質維持やブランドの信頼性向上、さらにはグローバルな色管理を実現するための第一歩です。

Labを活用する意味──色を「共有できる価値」へ

測定画面(一部):検査画像の平均Lab値が算出される

まとめ

色差ΔEは、目に見える色の違いを数値で表すための重要な指標です。特にLab表色系と組み合わせることで、見た目に近い形で色のズレを可視化し、正確な品質管理・技術判断を実現することができます。
パパラボでは、測定機器とソフトウェアの両面から、ΔE評価を含めた精密な色彩管理の仕組みづくりをサポートしています。色に関する判断に迷いが生じない環境を整えることが、品質・ブランド・信頼性のすべてに直結します。

関連ページ:色差 ΔEについて
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