色彩測定とは——色を正しく理解し、測るために

色は私たちの身の回りにあふれ、製品やデザイン、品質管理において重要な役割を果たします。しかし、色の見え方は人によって異なり、環境や光の影響を受けやすいため、正しく色を管理するには「測定」が欠かせません。このページでは、「色とは何か」「色と色彩の違い」「色彩の測定と検査」について、わかりやすく解説します。

色とは何か

色は、光源・物体・観察者の3つの要素が相互に作用することで知覚されます。光が物体に当たり、その一部が吸収され、残りが反射されることで特定の色が生じます。そして、その反射光が観察者の目に届き、脳がそれを色として認識します。これらの要素が組み合わさることで、私たちは色を見ているのです。

光源(照明): 色は光がなければ見えません。太陽光、蛍光灯、LEDなど、異なる光源の種類によって色の見え方が変わります。
物体(対象): 物体の表面が特定の波長の光を反射・吸収することで、その色が決まります。たとえば、赤いリンゴは赤い光を反射し、他の色を吸収しているため赤く見えます。
見る人(観察者): 人間の目や脳の色の感じ方も影響します。年齢や個人差、色覚特性によって、同じ色でも見え方が異なることがあります。

色とは何か

太陽からの光(白色光)と反射光

色の見え方は、光源・物体・観察者の違いによって変化します。例えば、同じ白いシャツでも、屋外では自然な白に見えても、室内の電球の下では黄色がかって見えることがあります。これは、光源ごとに色温度や分光スペクトル特性が異なるためです。また、同じ赤色でも、紙とプラスチックでは光の反射の仕方が異なり、質感や明るさが変わることがあります。さらに、観察者の視覚特性によっても色の感じ方は異なり、特に色覚の個人差によっては特定の色の識別が難しい場合もあります。

色の見え方はさまざまな要因に影響を受けるため、感覚に頼らず測定による数値化が重要になります。色彩測定では、光源や観察条件を統一し、客観的なデータとして色を管理することで、一貫した色の評価を可能にします。

色と色彩

色彩とは、複数の色が組み合わさった状態を指します。これに対し、「色」は単独の光の波長や物理的な特性によって決まる要素です。現実の多くのものは、単色ではなく色の組み合わせやグラデーションとして存在しています。

例えば、同じ「青」でも、空の青と海の青では印象が異なり、それぞれの環境や質感、光の反射によって微妙な色の違いが生まれます。これは、色彩が単なる色の集合ではなく、視覚情報や心理的・文化的な要素を含んでいるためです。

パパラボが色彩にこだわるのは、現実社会において扱う「色」は、単色ではなく色彩であることが多いからです。製品の仕上がりやデザインにおいて、微妙な色の違いや色の組み合わせが品質を左右するため、色彩を正確に測定・検査することが重要であると定義しています。

色と色彩

空の「青」と海の「青」

色彩の測定と検査

色彩は、単なる色の集合ではなく、光や素材、視覚の影響を受けながら形作られるものです。そのため、色の管理には、感覚ではなく測定による数値化が不可欠です。さらに、測定結果が適切に品質管理へ活用されるためには、検査の仕組みが必要になります。色彩の測定と検査を適切に行うことで、色の一貫性や再現性を確保し、安定した品質を維持することができます。

色と色彩の測定方法

色や色彩を客観的に把握するために、さまざまな測定方法が用いられます。

分光測色法: 光を波長ごとに分解し、物体の色を正確に測定する方法。特定の点の色を詳細に分析するのに適しています。
色差測定法: 基準となる色と比較し、色の違いを数値化する方法。製品の色の変化を管理し、品質を維持するために活用されます。
2次元色彩測定: 画像として色分布を記録し、色ムラやグラデーションの状態を解析する方法。広範囲の色彩情報を捉えることができます。

測定された色彩データを基に適切な検査を行うことで、製品の品質を一定に保つことが可能になります。例えば、製品検査では塗装や印刷の色の均一性を確認し、色のばらつきを抑えることで品質の安定を図ります。食品業界では、食品や飲料の色を品質の指標として管理し、見た目の色が持つ美味しさの印象を損なわないように検査が行われます。色の違いによる違和感を生じさせないことも重要なポイントです。また、ファッションやデザインの分野では、生地や化粧品の色彩を管理し、意図した色が正しく再現されているかを確認することが求められます。色彩の測定と検査を適切に行うことで、色の正確な評価が可能になり、色彩に関する品質管理の精度が向上します。

色彩の測定と検査

2次元色彩測定イメージ:(左)検査例 (右上)検査品全体 (右下)色分布

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