色彩とビジネスへの影響──見た目の色が行動・価値・信頼を左右する

色は人の判断を動かす──行動経済学的視点から

私たちは日常の多くの場面で、色から無意識のメッセージを受け取っています。
行動経済学の「システム1（直感）」の概念でも、人は判断の多くを瞬間的な印象で行うとされています。
そしてその印象に最も影響するのが「色」です。

・赤やオレンジは「注目」「活力」「購買意欲」を高める色
・青や緑は「信頼」「安心感」「誠実さ」を連想させる
・白やグレーは「洗練」「高級感」「清潔さ」を演出する

このように、色には人の感情や認知に働きかける力があり、色づかいひとつで売れるかどうかが変わることすらあります。

CMFデザインという考え方──満足感を生む設計

近年、「CMFデザイン（Color・Material・Finish）」という設計思想が注目されています。
これは単に色だけでなく、素材感（触感）や表面の質感を含めて、ユーザーの感情に訴えかける価値を設計する考え方です。

CMFデザインが重視するのは、見た目の美しさではなく、
「手にしたときの満足感」「使っているときの安心感」「所有していることへの誇り」など、“気持ちにおける満足”を意識した設計です。

当然、色はその中でも中心的な要素であり、他の素材や仕上げとのバランスによって印象が大きく左右されます。
だからこそ、CMFデザインの実現には、色彩を定量的に管理する仕組みが不可欠なのです。

カラー心理学のホイール：各色が持つ代表的な感情や心理的な印象を可視化

ブランドと購買行動への影響──色の一貫性が信頼と価値を生む

ブランドロゴ、パッケージ、製品、広告…
色がバラついているだけで、顧客は「違和感」「粗雑さ」「信頼できない」という印象を抱くことがあります。

たとえば：
・高級化粧品のパッケージカラーがロットごとに微妙に異なる
・家電の部品間で素材が違い、色の見え方に統一感がない
・ECサイトの商品画像と実物の色が大きく異なり、返品やクレームにつながる
・壁紙やカーペットなどの内装材で、貼り合わせた部分の色味が微妙に異なる
・車のシートや家具の皮材・布地など、縫製や張り合わせた箇所で色ムラが出てしまう

このように、つなぎ合わせて使われる素材では、色のわずかな違いでも視覚的な差異が強調され、製品全体の完成度や高級感を大きく左右します。
こうした色のズレは、単なる見た目の問題にとどまらず、品質不良として認識されるだけでなく、ブランド体験そのものを毀損する要因となります。
顧客は「見た目」から企業や製品の信頼性を直感的に判断しており、統一感のない色づかいは“管理が甘い会社”という印象すら与えかねません。
つまり、色は単なる表面処理ではなく、品質・ブランド価値・顧客満足に直結する重要な設計要素であり、特に「複数の部材を組み合わせる製品」においては、色彩の一貫性を維持するための厳密な管理が求められます。

製品(化粧品)とパッケージデザイン

正しく「測る」ことで価値を守る──色彩測定の役割

色は光の条件や素材、個人の視覚特性などにより見え方が変わるため、感覚に頼った管理は非常に不安定です。
そこで重要になるのが、色を客観的な数値で測定し、管理する仕組み＝色彩測定です。
パパラボでは、人の感覚に近いLab色空間を用いた色彩測定機器とソフトウェアを提供し、以下のような課題解決を支援しています。

・ブランドカラーを数値化して管理し、社内外で色基準を共有
・製品の色を基準色と比較し、ΔEによって色のズレを明確化
・異なる素材間の色合わせを数値的に調整し、一貫性を保つ
・パッケージ、広告、製品において色の整合性を測定データで裏付ける

これにより、印象・品質・ブランド価値を感覚に頼らず、データで守ることが可能になります。

まとめ

色は人の判断を左右する力を持ち、ブランド体験や購買行動に大きな影響を与える重要な要素です。
さらにCMFデザインのように、感性価値を設計する時代においては、「見た目の統一」ではなく「印象の一貫性」が求められます。
その実現には、色を測定し、数値として扱い、管理する仕組みが必要です。
パパラボは、色彩測定技術を通じて、製品とユーザーの間にある「見え方のギャップ」をなくし、企業が届けたい価値を正しく・一貫して伝える支援を行っています。