人工歯は単なる機能回復だけでなく、見た目の自然さや美しさが強く求められる医療材料であり、特に前歯部では、隣接する歯との違和感のない色味・グラデーション・透明感の再現が品質の鍵を握ります。こうした審美性は、単なる患者満足にとどまらず、製品の信頼性やブランド力そのものを左右する重要な価値要素です。色や透明感をいかに正確に、安定的に評価できるかは、歯科業界における差別化と競争力の源泉であり、これからの製品開発・品質管理に不可欠となっています。
人工歯
透明感のある基準品の歯
基準品と検査品の比較検査結果
樹脂材料、セラミック材料、硝材
課題
目視による色合わせの限界と透明感評価の難しさ
歯科材料の色調や透明感の再現性は製品価値に直結します。しかし現在、多くの現場では目視による評価が中心で、製品ごとの色ムラやロット間のばらつきを数値で管理できていません。特に前歯部向けの審美材料では、自然なグラデーションや透明感の再現が求められ、従来の分光計やカメラでは十分に対応できないという声も多くあります。客観的かつ高精度な検査方法の確立が急務となっています。
色彩計導入後の効果
色調・透明感の「見える化」で品質と信頼性を向上
当社の製品の導入により、歯科材料の色やグラデーション、透明感といった審美要素を高精度に定量化できるようになりました。これにより、製品間やロット間のばらつきを数値で把握し、安定した品質管理が実現。従来は感覚に頼っていた外観評価に客観的な基準が加わり、社内の検査工程の信頼性が向上しただけでなく、顧客への説明力や製品提案力の強化にもつながりました。審美性を重視する市場において、品質の可視化は競争力のあるブランド構築に直結しています。
①撮影…基準品を撮影し画像を保存します。測定画面で基準追加をクリックすると基準に設定されます。
②検査…検査品を撮影します。これで準備完了です。
③結果…測定タブに移動すると検査結果が表示されます。検査結果や画像は出力可能です。
色や透明感の違いを定量化して比較するには、色と質感を含めた一致度検査が効果的です。1ピクセル単位で取得した色の情報をLab色空間上にプロットし、基準品と検査品で色分布情報の一致率を表すことで、実際の見た目に近い判定が可能です。「色は合っているのに何か違う」を数値で判定できるので、質感の再現が求められる製品に最適です。
透明感の違いを確認するには、3次元色分布表示がおすすめです。1ピクセル単位で取得した色の情報をLab色空間上にプロットすることで、光沢のない単色は一点に収束し、透明感があるサンプルは立体的に広がる形として現れます。この広がりが「質感」として捉えられ、実際の見た目に近い比較が可能になります。色だけでなく透明感などの質感の再現が重要な製品の解析に最適です。
色のグラデーションが重要となる製品の解析には、「プロファイル測定」が効果的です。細長い測定領域を設定し、領域のスタート位置を基準として、⊿L*、⊿a*、⊿b*、および色差⊿Eの変化をグラフ化。ガイド線の表示により、どの位置で色のズレや色ムラが生じているかを一目で把握可能。視覚では気づきにくい微細な差異も数値として明確に捉えることができます。
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